▽本橋成一さんの写真集を見るのは炭鉱を写したシリーズから2冊目。どちらもその対象が今はなくなってしまったものなのでとても貴重な写真といえる。とはいえ、ただの記録写真としての価値かというとそんなことはない。本橋成一という稀有な写真家が作品として結実させたことに意味がある。見事に屠場を写し撮っているのだ。 ところで屠場(とじょう)とはどういう場所なのだろう。言葉だけだとイメージが沸かないかもしれないけれど写真を見れば一目瞭然で、食肉を処理、解体する場所が屠場だ。私は自給自足を夢見ているので、鶏や家畜を食べるために「屠殺」するなんていう言葉は本や記事でよく目にするけれど、やはり一般人には縁遠いし、現場に立ち会ったこともない。テレビで屠場や屠殺する瞬間を見ることもあまりないはずだ。かなりえげつない光景になるので、多くのクレームが寄せられると思われる。何かの映画かインターネットの動画で見たことがある