『池田信夫 blog』 の新着エントリー
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外需の影響 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
日本経済が外需の変化の影響を受けやすい、と書くと「日本の輸出のGDP比は小さいから影響はない」といったコメントが来る。そういう間違いを堂々と書いた「1ドル70円台の日本経済」という記事が月刊誌に現れたので、基本的なことだが訂正しておく。「日本の輸出依存度って、せいぜい15%だけど、これって高い... 続きを読む
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銀行の国有化 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
昨今の銀行国有化をめぐる議論は、預金保険もきかないシティバンクを決済銀行にしている私としては他人事ではない。米政府はまだそこまで踏み切っていないが、グリーンスパンも国有化を支持する状況になり、もう時間の問題だろう。預金者として気になるのは、このまま放置するとBIS基準で海外営業できなくなること... 続きを読む
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リスクのきらいな日本人 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
小倉秀夫氏によれば、新自由主義って,人命に特段の価値を見出しません。そもそもたかだか人命のために企業活動が制約されるということが池田先生には許せないのだと思います。「人命と,建築業界の収益とどちらが大切なんだ」と問われて,法律家は人命だと答え,経済学者は建築業界の収益だと答える。よくこれで弁護... 続きを読む
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Flexicurity - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
先日の北欧モデルについて、もう少し調べてみた。北欧をひとくくりにするSachsの話は少し荒っぽく、最近はスウェーデンとデンマークは区別して論じるようだ。週刊東洋経済が昨年、特集していたが、EUでも"flexicurity"というスローガンを掲げ、雇用の柔軟性(flexibility)と保障(s... 続きを読む
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世界不況を経済学で読み解く - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
『なぜ世界は不況に陥ったのか』が、アマゾンで先行発売された。売れ行きは、おかげさまで順調だ。エグゼクティブ・サマリーはこちら。27日から書店に並ぶ。本書の発売を記念したトークセッションが、来月13日に丸善丸の内本店で開かれる。 続きを読む
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コンプライアンスと法令遵守 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
小倉秀夫氏はこう書いている:建築基準法を改正せず,「粗悪な建築がなされ,大震災のときにはあっさり崩壊するような建物が建つかも知れないけど,それって自己責任だよね」ってことで放置しておいた場合に,「よくわかんないけど,地震で倒れたらその時に考えればいいや。数千万円から数億円の買い物で色々考えるの... 続きを読む
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思考停止社会 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
日本経済の沈没は止まらない。輸出が落ち込み、消費が低迷し、さらに企業が「コンプライアンス」で萎縮しているからだ。本書も指摘しているように、「耐震偽装」事件は結局、姉歯建築士の個人的な事件だった。国交省がそれに過剰反応して建築基準法を改悪した結果、住宅着工が半減してGDPにも影響を及ぼした損害は... 続きを読む
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財政黒字を生み出す景気対策 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
麻生政権がいよいよ追い込まれ、3次補正の議論が始まっている。民主党も対案を検討しており、私のところにも各方面から情報が入ってくる。特に注目されるのは、日経にも少し出ているが、地デジ対策として「支援金」を出す話だ。総務省は2兆円規模を考えているそうだが、そんな財源はないので周波数オークションが有... 続きを読む
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「新自由主義」をめぐる誤解 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
日本の一部の人々にとっては、経済危機によって「新自由主義」が終わったのだそうだが、そういう人に限って自分が何をいっているのか理解していない。小倉秀夫氏は次のように書く:普通は,「neoliberalism」の訳語だと考えると思うのですが,池田先生は「neoliberalism」という言葉が用い... 続きを読む
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北欧モデル - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
一昨日の記事に安富歩氏から「スウェーデンモデルをどう見るか」というコメントをもらった。昨日ちょうど「北欧モデル」の話を、ある大学の研究所長としたところだった。北欧モデルの成功は「英米型の自由主義経済が効率的だ」という経済学者の多数意見に対する挑戦で、最近ではSachsとEasterlyが論争し... 続きを読む
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壁と卵 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチの一部が、現地紙に出ている。当然「曖昧だ」とか「混乱する」とか否定的に論評しているが、抄録としてはもっとも長いので、スピーチの部分をそのまま引用しておこう:So I have come to Jerusalem. I have a come as a nove... 続きを読む
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「成長戦略」という名の産業政策 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
昨年10〜12月期の成長率は、先日の記事で書いた上限を超える年率12.7%だったが、今年1〜3月期は20%に迫ると予想されている。これを受けて、また3次補正の話が出ているが、昨年の1次補正や利下げなどの効果がなかったことは明白だ。景気刺激策がきかないのは、現在の経済危機がグローバルな経常収支バ... 続きを読む
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Animal Spirits - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
ケインズの乗数理論は役に立たないが、彼が強調した不確実性や「アニマル・スピリッツ」などの心理の問題は、今回の経済危機であらためて注目されている。本書はAkerlofとShillerという巨匠が、そうした不況の心理的な側面を、行動経済学の成果を使ってやさしく解説したもので、読み物としても楽しめる... 続きを読む
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財政政策にフリーランチはない - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
オバマ政権による史上最大の景気対策が成立したが、マーケットも経済学者も、その効果には懐疑的だ。Becker-Murphyは次のように論じている:財政支出の乗数効果は1より小さい支出の増加は一時的なものと想定されているが、利益団体にいつまでも食い物にされる刺激策の消費者や企業への効果は、短期的な... 続きを読む
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経済学者のコンセンサス - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
Mankiw's blogより: 「経済学者が3人いたら意見は4つある」などといわれたのは昔の話で、現在はかなり広範な合意が成立している。家賃の規制は借家の質と量を悪化させる (93%) 関税や輸入割当は経済的福祉を悪化させる (93%) 変動為替相場制は、国際金融調整に効果的だ(90%) 財... 続きを読む
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アメリカ後の世界 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
いま起こっている変化を「アメリカの没落」という向きが多いが、軍事的にはアメリカの優位は圧倒的だし、基軸通貨としてのドルの地位もゆらいでいない。むしろ「アメリカ以外の国の台頭」だ、というのが著者の見立てである。これが「文明の衝突」をもたらすかというと、中国もインドも欧米文化に同化することによって... 続きを読む
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死の接吻 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
エルピーダメモリの坂本幸雄社長が、産業再生法による公的資金の導入を検討すると語っている。半導体産業は昔から国策産業という性格が強いので、このように政府の支援を求めることは珍しくない。しかし坂本氏も知っているように、そうやって政府が補助した企業のほとんどは業界から消えたのだ。 20年前、日本の半... 続きを読む
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「債務資本主義」のバイアス - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
先日、ある外資系投資銀行の幹部(インド人)が、背任事件にからんでニューヨーク本社から解雇された。今どき驚く話でもないが、それを聞いた元同僚(日本人)が大喜びするのには驚いた。「ざまぁみろ」とか「年20億円ぐらいもらってたけど、ブタ箱じゃ使えないだろ」といった反応が、ハゲタカ投資銀行の社員から出... 続きを読む
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比較優位についての誤解 - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
経済学の基本的な概念を理解していない人が世の中に多いことは何度も書いてきたが、それが東大経済学部(経営学科)の教授となると深刻だ。『文藝春秋』3月号で、藤本隆宏氏はこう書く:自由貿易の下、貿易財の輸出可能性(表の競争力)は、他国との生産性(裏の競争力)の差の大きさで決まる――200年前に古典経... 続きを読む
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中高年正社員の賃金を下げる「逆春闘」を - 池田信夫 blog blog.goo.ne.jp:ikedanobuo
ソニー、全日空、東芝、パイオニアなどで、賃下げの動きが広がってきた。「ワークシェアリング」などという曖昧な話ではなく、賃下げこそ雇用維持の切り札である。年収1500万円の中高年正社員の賃金を2割下げれば、非正規労働者の雇用が1人守れる。 名目賃金の下方硬直性が失業をまねくことは、1930年代以... 続きを読む