1975年成立したポル・ポト政権下のカンボジアの実態に迫った著名なルポ。 著者はカンボジアに10年滞在したフランス人カトリック神父。 ポル・ポト政権がまだ存続していた1977年に原著が出て、翻訳は79年、それから20年後の昨年新版が刊行されている。 『共産主義黒書 コミンテルン・アジア篇』の記事で触れた、本多勝一『検証カンボジア大虐殺』(朝日文庫)を読んだ時から、その存在は知っていたはず。 カンボジア現代史の概観を得るためには、冨山泰『カンボジア戦記』(中公新書)、ミルトン・オズボーン『シハヌーク』(岩波書店)を参照。 本文に入る前にまず、国名と民族名の確認。 現在ほとんど聞かなくなったが、この時代「カンボジア」以外にも国号として「カンプチア」が用いられていた。 (三文字目が潰れていて区別がつかないでしょうが、カンプチア「pu」です。) ポル・ポト政権時代に「民主カンプチア」を自称していた