『内田樹の研究室』 の新着エントリー
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壁と卵(つづき) (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
村上春樹のエルサレム・スピーチについて二件の電話取材を受けたと書いた。 電話取材というのはむずかしい。 30分ほどしゃべったことを5行くらいにまとめられているコメントの場合には、「言いたいこと」が活字になっているということはほとんどない。 私が「言いたいこと」というよりは記者が「理解できたこと... 続きを読む
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それにしても (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
忙しい一週間であった。 12日が入試CD日程。 川合学長がイギリスに出張されていたので、そのあいだ私が学長代行なので、終日試験本部にすわっている。 「何かあったとき」のためであるが、できるだけ何もない方がいいので、「何もありませんように」と念じつつ、じっと置物のように座っている。 幸い、なにご... 続きを読む
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壁と卵 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
村上春樹のエルサレム賞の受賞スピーチが公開されている。 非常にクリスプで、ユーモラスで、そして反骨の気合の入ったよいスピーチである。「それでも私は最終的に熟慮の末、ここに来ることを決意しました。気持ちが固まった理由の一つは、あまりに多くの人が止めたほうがいいと私に忠告したからです。他の多くの小... 続きを読む
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政権末期内閣の願うことは (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
小泉首相の「わらっちゃう発言」によって自民党のメルトダウンが始まっている。 それにつけても、麻生政権は「もう末期」と昨秋から言われながら、なかなか倒壊する気配がない。 これはいったいどういうことであろう。 代議士たちも自身の選挙の当落についての個人的危機感はずいぶんと高いようだけれど、そのわり... 続きを読む
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大学はどうなるのか (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
バリ島から帰ってきてそのまま会議。 ほんとうは午前中にも会議があり、それにも出席しなければならなかったのであるが、その頃はまだ家にたどりついていなかったのでご無礼。 30分ほど前に教務部長のデスクにつくや、教務課長が「ちょっとご相談が・・・」とおいでになっていろいろ相談ごと。 むむむ、それは困... 続きを読む
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バリ島にて (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
バリ島に来ている。 このところ毎年二月にバリ島に5日ほど滞在するというのが慣例化している。 一度はじめたことはなかなか止めないというのは私の悪癖であるが、バリ島もそうなりつつある。 2月は雨期なので、毎日雨がじゃんじゃん降っている。 「車軸を流すような雨」という言葉があるが、ほんとうに車軸ほど... 続きを読む
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忙しい一週間でした (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
今日の県民武道大会で「とっても忙しい一週間」が終わる(予定)。 26日が神戸国語教育研究会で講演。27日が神戸大学付属住吉中学で講演。それから大学で会議、ゼミ、下川先生のお稽古。28日が11時からインターンシップの打ち合わせ、取材が2件、写真撮影が1件。そのあと釈先生、フジモトさんと講談社の加... 続きを読む
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学びと暗黙知 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
後期最終日。 朝から忙しい。 11時にアートマネジメントのインターンシップについて連絡のため登校。 お昼ごろに卒業生の福田くん(チナツじゃないよトモカだよ)が来る。卒業後の波瀾万丈(でもないけど)について事情聴取。 社交館でいっしょにご飯を食べる。 それから取材が2件、写真撮影が1件。 写真な... 続きを読む
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ミカミさんのこと (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
東京新聞で三上治さんが『昭和のエートス』について暖かい書評をしてくれた。 私たちの世代には懐かしい「あの」“叛旗派の三上”である。 若い方たちのためにウィキペディアのプロフィールを転載しておこう。三上治(みかみおさむ、1941年-)評論家。三重県出身。1960年中央大学法学部政治学科入学、安保... 続きを読む
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大統領就任演説を読んで (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
20日、バラク・オバマが第44代アメリカ大統領に就任した。 その就任演説を読む。 そのまま英語の教科書に使えそうな立派な演説である。 アメリカという国が「もともとある」共同体ではなく、国民ひとりひとりが自分の持ち分の汗と血を流して創り上げたものだという考えが全体に伏流している。 その建国にかか... 続きを読む
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入試「改革」のご提言について (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
センター入試の日に新聞の社説に入試改革の提言が載せられている。 毎日新聞の社説子はこう書いている。 「少子化や規制緩和の大学増設なので大学の学生獲得競争が次第に強まり、科目を減らしたり独自学力試験をしないなど、試験を安易にする傾向が現れた。 時間をかけ多角的に審査するはずのAO(アドミッション... 続きを読む
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厭味なインタビュイー (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
取材が続く。 火曜日が講談社のGrazia,水曜がリクルートの受験雑誌、木曜が朝日新聞。 取材のお題はそれぞれ「30代女性の生き方」「親は受験生をどう育てるべきか」「モンスター・ペアレンツ」 まことにさまざまである。 どのメディアに対しても基本的には同じことをお答えする。 「そういうことはあま... 続きを読む
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足元を見よ (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
ジブリが出している「熱風」という雑誌がある。 そこに宮崎駿が2008年11月20日に日本外国特派員協会で質疑応答があったときのやりとりが採録されている。 宮崎駿が天才であることに異論のある人はいないだろう。 その天才はつよい思想に裏づけられている。 一読して驚いたのは、宮崎駿もまた「国内市場の... 続きを読む
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あれから40年 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
修士のクロダくんが論文について相談に来る。 修論のテーマは「学生運動」だそうである。 40年前の学生運動のことについて調べたいという。 私が彼女の年齢のとき(1973年)、その40年前というと、1933年である。 ヒトラーが政権を執り、松岡洋右が国際連盟の会議場から歩き去り、滝川事件が起きた年... 続きを読む
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読者と書籍購入者 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
私は論争ということをしない。 自分に対する批判には一切反論しないことにしているから、論争にならないのである。 どうして反論しないかというと、私に対する批判はつねに「正しい」か「間違っている」かいずれかだからである。 批判が「正しい」ならむろん私には反論できないし、すべきでもない。 私が無知であ... 続きを読む
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「内向き」で何か問題でも? (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
先日、苅谷剛彦さんと対談したときに、日本のように「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が1億以上」というような市場をもつ国は世界にほとんど存在しない、ということを指摘していただいて、「ほんとにそうだよな」と思ったことがある。 「国内に同国語の十分なリテラシーをもつ読者が一億以上」いるという... 続きを読む
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明治の気象 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
大晦日に掛け取りに払うような借財はないが、「文債」なるものがある。 今年最後のそれはボヤーリン兄弟の『ディアスポラの力』の書評であり、これが終われば、とりあえず課されたすべての仕事を私は真摯かつ誠実に履行したことになる。 掃除は終わったし、年賀状も投函し終えたし、会いに来る人もいないし、会わね... 続きを読む
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仕事納めはラジオ (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
今年は早手回しに煤払いも終わり、年賀状も出し終えたので、今年最後のお仕事に出かける。 元旦に放送する「時事放談」みたいな番組の収録のためにNHKに伺ったのである。 収録済み識者諸氏の時事についてのコメントを伺ったあと、アナウンサーの五十嵐公利さんを相手に私が1時間半にわたって勝手なことぺらぺら... 続きを読む
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「さん」と「先生」のあいだ (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
『街場の教育論』にいろいろな方から書評をいただいている。 「週刊文春」で先週号に養老孟司先生が、讀賣新聞で福岡伸一先生が21日の書評欄で取り上げてくれた。昨日の讀賣新聞では佐藤卓己さんが「2008年の三冊」に選んでくれた。 ありがたいことである。 と書いて気がついたのだが、前のお二人は「先生」... 続きを読む
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宴会的知 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
教務課の忘年会に呼ばれて門戸厄神の居酒屋で行く。 考えたみたら、職員の皆さんの忘年会に招かれたのは、在職18年ではじめてのことである。いや、その前の助手時代や非常勤講師時代を入れてもはじめてのことである。 ずいぶん長いこと、私たちの社会は職場の人たちとの「アフター5のおつきあい」というのを忌避... 続きを読む