-
利益誘導教育の蹉跌 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
「世界に通用する人材育成」をめざして橋下徹大阪市長が府知事時代に始めた「TOEFL上位校に破格の助成金を与える施策」が行き詰まっている(朝日新聞5月11日朝刊)。 府は50校分5億円の助成金を準備したが、参加校はわずか8校。基準点をクリアできたのは4校。すべて私立だった。 一位の関西学院千里国... 続きを読む
-
「忖度」する人たち (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
インタビューで、沖縄米軍基地、原発と原子力行政、日本のこれからの安全保障と外交戦略についてお話ししする。 どうして私のようなシロートにそういう話を聞きに来るのか、正直に言って、よくわからない。 私は外交や国防の専門家ではないし、知っていることはどれも新聞で読んだ公開情報だけである。 それさえあ... 続きを読む
-
無原発元年の年頭によせて (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
国内のすべての原発が止まった。 1970年から42年ぶりのことである。 2012年という年号が「脱原発元年」としてひさしく記憶されるようになることを私は願っている。 原発の再稼働の賛否については、文字通り「国論を二分する」ような議論がゆきかっている。 再稼働賛成派の論拠はおもに経済的なものであ... 続きを読む
-
忠臣蔵のドラマツルギー (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
モーリス・ベジャール振り付けの「ザ・カブキ」のパリ公演のためのパンフレットに「どうして日本人は忠臣蔵が好きなのか」について書きました。 まず日本語で書いて、それを一文ごとにフランス語に置き換えるという作業をしました。 うまくフランス語が思い出せない言葉は日本語を書いている段階ですでに抑制される... 続きを読む
-
仕事力について (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
4月に一ヶ月間、毎週一度朝日新聞の求人欄の上のコラムに「仕事力」というエッセイを連載しました。いつもの話ですけれど、就活する学生たちに対して言いたいことをわりとコンパクトにまとめてあるので、そういう立場にいる方はぜひご一読ください。 自分の適性に合った仕事に就くべきだと当たり前のように言われて... 続きを読む
-
人災の構図と「荒天型」の人間について (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
「東日本大震災における天災と人災」というお題で日本赤十字看護学会というところで講演をすることになった。 抄録の提出を求められたので、次のようなことを書いた。 「いつもの話」ではあるけれど、本番では「いつもの話」じゃないことを話すので、ご容赦ください。 東日本大震災から1年を経過して、これが「天... 続きを読む
-
沖縄タイムス・ロングインタビュー (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
沖縄タイムスから基地問題と安保についてのインタビューを受けました。 記者の方が終わりに書いているように、僕はもちろん外交や安保のことについてはまったくの素人です。でも、どんな業種の人の話をきいても「筋の通った話」と「筋目がごちゃごちゃの話」は区別できます。 沖縄問題は、政治家や学者から「筋が通... 続きを読む
-
「贈与経済」論(再録) (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
『呪いの時代』に贈与経済について書いたものを再録しておく。 このアイディアはそのあと岡田斗司夫さんの「評価経済」論との対談でも重要なトピックになった。 岡田さんはじめ、いろいろな人たちがポスト・グローバル資本主義のシステムについて新しいアイディアを提出している。 オルタナティブが必要だというこ... 続きを読む
-
経済成長の終わりと贈与経済の始まりについて (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
平松邦夫さんの新しい政治運動のためのシンポジウムがあった。 労働組合や既成政党が土台という「ふるい」タイプのムーブメントはもう賞味期限が切れていると思うけれど、それへのオルタナティブがみつからない。 「オルタナティブがみつからないで困ったよ」という全員の困惑がはっきり前面に出ていたという点で、... 続きを読む
-
大学における教育-教養とキャリア (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
去年の11月に追手門大学の建学45周年行事にお招き頂き、記念講演をしました。 そのときの講演録が活字になって配布されました。 手元にはデータが残っていましたので、ブログでご紹介致します。 だいたい「いつもの話」なんですけど、ところどころ「新ネタ」もあります。 はじめに 僕が第一回目の講師だとい... 続きを読む
-
「リアリスト」に未来はあるか? (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
「入学の春を迎えた大阪の学校に重苦しい空気が漂っている。橋下徹大阪市長の意向で、教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例が施行されたことを受け、約13000人の教職員に職務命令が出され、厳密な確認が始まったからだ。」(朝日新聞、4月4日) 起立斉唱の職務命令に三回違反すれば免職できる規... 続きを読む
-
仕事力その1 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
朝日新聞に4回にわたって毎週日曜に「仕事力」というインタビューを連載します。 就活学生や転職をしようとしている若い人のためのアドバイスです。 昨日、東京の方では紙面に出たようです。朝日新聞をご購読でない方のために、ご紹介しておきます。 こんな話、ま「いつもの話」ではあるのですが。 「適職」は幻... 続きを読む
-
『赤毛同盟』と愚鈍の生成について (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
朝日新聞の求人欄の上に日曜に出ている「仕事力」というコラムのための取材を受けた。 その中で、「適性」とか「天職」とかいう言葉がどれほど若い人たちの労働意欲を損なっているかについて語った。 今、仕事を探している若い人たちの言う「自分の適性にあった職業」というのは、装飾を削ぎ落として言えば、「自分... 続きを読む
-
教育の危機と再生 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
先日、兵庫県庁での研修会で講演したときの講演録が出来ました。うちうちで配布するものなので、ここに再録しておきます。 中身は「いつもの話」ですけれど、まあ、いいじゃないですか。いつもの話で。 では、どぞ。 はじめに 内田でございます。 ただ今ご紹介にありましたとおり、このすぐ先の神戸市東灘区住吉... 続きを読む
-
教育の奇跡 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
『みんなのねがい』(全障研出版部)という媒体に教育について寄稿した。 「いつもの話」ではあるが、教育についてビジネスマンのような言葉づかいがあまりにメディアに瀰漫してるので、「教育はビジネスの言葉づかいでは語れない」という原理的なことを確認するために書いた。 「教える」という営みの本質について... 続きを読む
-
不便さと教育 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
丸善が出している『學鐙』という雑誌に教育論を寄稿した。 一般の方にはあまり手に取るチャンスのない媒体なので、ここに採録しておく。 不便さと教育 というタイトルを頂いて原稿を書くことになった。たぶん「教育と効率」の背馳について論じて欲しいというのが編集部の趣旨であろうと思うので、それについて書く... 続きを読む
-
『日本辺境論』韓国語版への序文 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
『日本辺境論』が韓国語訳されることになって、序文を頼まれたので、それを書いた。 『日本辺境論』は中国と韓国の読者をつよく意識して書いた日本文化論であるので、これが韓国語に翻訳されることは書き手としてたいへんにうれしい。 どういう受け取り方をされるのか、興味がある。 これは私の著作の中では(たぶ... 続きを読む
-
抑止力と付加形容詞について (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
在日米軍再編が進んでいる中で、米側が日本政府に沖縄の海兵隊の移転計画を明らかにした。 海兵隊司令部と遠征部隊は沖縄に引き続き駐留するが、陸上部隊の大半はグアムなど国外移転する。 06年のロードマップでは司令部も国外転出の予定であったが、軍備拡張を進める中国を牽制するかたちで司令部のみ残留という... 続きを読む
-
沖縄の基地問題はどうして解決しないのか? (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
沖縄タイムスの取材で、沖縄の基地問題について少し話をした。 この問題について私が言っていることはこれまでとあまり変わらない。 沖縄の在日米軍基地は「アメリカの西太平洋戦略と日本の安全保障にとって死活的に重要である」という命題と、「沖縄に在日米軍基地の70%が集中しており、県民の91%が基地の縮... 続きを読む
-
バリ島すちゃらか日記 (内田樹の研究室) blog.tatsuru.com
2月17日 久しぶりの休日は、一年ぶりのバリ島バカンス。 ほんとうに休みなく働いている。まさか退職した後にこれほど忙しくなるとは思っていなかった。 4月から「毎日が夏休み」になるかと思っていた。 実際には「毎日が月曜日」という悲惨な暮らしがそれから始まった。 退職したら、半年ほどは完全休養して... 続きを読む