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特異で華麗な美学の到達点。中村明日美子『ウツボラ』完結 - 本が好... news.honzuki.jp
中村明日美子(なかむらあすみこ)の最新作『ウツボラ』が完結した。最終巻となった第二巻には、描き下しエピローグが追加され、完全版というかたちだ。 『ウツボラ』は、冒頭で自殺する正体不明の美女と、その「双子の姉」を名乗るもう一人の美女、そしてこの二人に幻影のようにつきまとわれる往年の男性人気作家、... 続きを読む
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食と戦争に切り込む『ナチスのキッチン』トークイベントも開催(5/31... news.honzuki.jp
「腹が減っては戦はできぬ」。僕は食道楽で、三食のうち一回が欠けただけで心身ともに激しく機能低下するので、毎日のようにこのことわざを脳裏によぎらせています。「戦争」という状態から遠く隔たった現代日本に暮らしていると、「戦」は、仕事や生活のなかのちょっとした勝負事の喩えとして感じられます。 しかし... 続きを読む
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萩尾望都対談集第2弾。吉本隆明、野田秀樹…伊藤理佐とは下ネタで! ... news.honzuki.jp
この春に少女漫画家として初の紫綬褒章を受賞した萩尾望都。手塚治虫・松本零士・寺山修司・小松左京といった錚々たる面々との貴重な対談をまとめた初の対談集『マンガのあなた SFのわたし 萩尾望都・対談集 1970年代編』の刊行がまだ記憶に新しいが、その第二弾となる『コトバのあなた マンガのわたし 萩... 続きを読む
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天皇の朝ごはんはバケツリレー式だった!『宮中のシェフ、鶴をさばく... news.honzuki.jp
先日、面白い料理関係本が刊行された。『宮中のシェフ、鶴をさばく: 江戸時代の朝廷と庖丁道』だ。 本書は、江戸時代に天皇が食べる料理を担当した料理人たちが確立した「庖丁道」なるものが何なのかを追った一冊。 たとえば、タイトルにもある鶴。鶴が天然記念物にしていされている現代、鶴料理はほとんど食べる... 続きを読む
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閲覧注意:技巧派ナンセンス劇薬漫画家の新作が酷すぎた(褒めてます)... news.honzuki.jp
ハイセンスな感じのする表紙に惹かれて『登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験』を買ってみたら酷すぎた(褒めてます)。 本書は、エログロナンセンスな内容のマンガを卓越した画力と、メタフィクション的な手法を駆使して描くことで知られる駕籠真太郎の短編集。 僕も変態マンガ誌「フラミンゴ」の読者... 続きを読む
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ビックリマンやクトゥルーにも通じるシュールなマックス・エルンスト... news.honzuki.jp
横浜美術館で開催中の『マックス・エルンスト』展がアツい。横浜美術館のほか、愛知県美術館と宇都宮美術館に所属する若手の学芸員が企画したこの展覧会。広報に割く予算を抑え、残りを展示内容に傾注した結果、あまり世の中には知られていないが充実した企画となっている。 その充実ぶりは美術館で買える図録にその... 続きを読む
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硫化鉄をまとう貝や頭スケスケの魚『進化しすぎた新種生物ファイル』... news.honzuki.jp
『進化しすぎた「新種生物」ファイル』が発売された。新種生物好きならお馴染みの面々が並ぶ。コンビニにも並んでいるので、まとまった新種生物情報を手に入れたいならオススメだ。(逆に常日頃から生物ネタを集めているようなマニアには物足りないかも知れない) 新種を探して活動している団体や、未発見生物種の数... 続きを読む
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ヤバい話を可愛すぎるキャラでさらりと読ませちゃうヤバいマンガ家 -... news.honzuki.jp
ヤバい雰囲気のただようマンガというのは、実はあんまり見当たらない。「ヤバい雰囲気」なんて、いまどき流行ってないからだろう。それでも、何故かヒリヒリした空気感を味わいたいような一瞬が訪れてしまう人たちは、そういうヤバい作品をつい求めてしまう。 そんな読者ならきっと気になっている作品や作者たち、つ... 続きを読む
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目の前の他者に向き合う。東浩紀+千葉雅也対談『atプラス12』 - ... news.honzuki.jp
現代日本を代表する言論人のひとり東浩紀氏と、若き哲学者として注目を集める千葉雅也氏の対談が収録されるということで『atプラス』最新号は刊行前から大いに話題になった。今回も盛りだくさんな内容の中から、その対談を中心に、個人的に気になった部分を紹介したい。 まず東+千葉対談「震災以後の哲学を考える... 続きを読む
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自殺というテーマで様々な情報が収められた奇書『完全自殺マニア』 -... news.honzuki.jp
僕が生きてきた三十数年の人生の中で、自殺に成功し帰らぬ人となった友人が二人ほどいる。僕の知らないところで死んでしまっている知人はもっとたくさんいることだろう。「自殺」。今は正面からこの問題に向き合うことはできないけれど、死んでしまった友人や、死ねなかった友人たち、あるいは自分の将来について考え... 続きを読む
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あなたもゾンビを作りませんか?「たったひとつの腐ったやり方」とは... news.honzuki.jp
先日開催された「文学フリマ」に行って来ました。今回は僕がゲットした同人誌の紹介したいと思います。何冊かまとめてゲットしてきたのですが、まだ読み切れていないので、他の同人誌は余裕があれば日を改めて紹介します。 今回の収穫のうち、真っ先に取り上げたいのは『bnkrR vol.4』。特集は「ゾンビ」... 続きを読む
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死の商人が主題の劇画、『ヨルムンガンド』が描くのは神話的運命論だ... news.honzuki.jp
『ガタカ』『トゥルーマン・ショー』で高く評価されているアンドリュー・ニコルが、武器商人いわゆる「死の商人」を主人公にして撮った映画『ロード・オブ・ウォー』。 実在の武器商人への取材を元に作られたこの映画は、ニコラス・ケイジ演じる架空のフリーランス武器商人が巨万の富を手にし、イーサン・ホーク演じ... 続きを読む
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女性でも少女でもなく、不気味に進化する「女子」という存在 - 本が... news.honzuki.jp
「◯◯女子」なるものが世の中で流行するようになって久しい。「複雑系女子」とか「40代女子」とか、興味深いバリエーションが多数登場してきている。僕は先日「論壇女子」なるワードを見つけて驚いた。ここで繰り返されている「女子」というのはどういうニュアンスを担っているものなのか。今回紹介する『「女子」... 続きを読む
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水村美苗、待望の長編小説をその思想的背景から読む『母の遺産』 - ... news.honzuki.jp
長編評論『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』が梅田望夫氏や小飼弾氏に絶賛された水村美苗氏。扇情的なタイトルと文体、華々しい評価に対して、賛否両論が巻き起こったのは記憶に新しい。 この水村氏、現在はスタンフォード大学の客員教授として日本近代文学を教えている。世界的に高名な批評家ポール・ド・マ... 続きを読む
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ハーバードの先生がツンデレを大真面目に分析『ライトノベル表現論』... news.honzuki.jp
先日紹介した『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』と好対照をなす書籍が刊行された。今回紹介する『ライトノベル表現論: 会話・創造・遊びのディスコースの考察』、この生真面目なタイトルの書籍の著者は泉子・K・メイナード氏。名前だけ見ると、それこそまるでラノベやマンガに登場しそうな印象だが、ハーバー... 続きを読む
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仮面から人格へ、そして哲学の存立基盤まで。表象06ペルソナの詩学 -... news.honzuki.jp
表象文化論学会の学会誌『表象』の第六号が、4月24日に発売予定だ。発売元の月曜社ブログ「ウラゲツ☆ブログ」で、先行販売をしている東京堂書店神田神保町店の店頭写真が掲載されている。 表象文化論学会は、加速度的に多様化し流動化している現在の文化状況のもと、その変容を精密に分析し、その研究成果を文化... 続きを読む
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芸術って何なのさ!謎な絵と向きあうために。『イメージの前で』 - ... news.honzuki.jp
「芸術」の耐え難い胡散臭さについて誰か僕と語り合いませんか。 僕は先日、国立近代美術館でやってるジャクソン・ポロック展に行きましたけど、なんであんなのが芸術なんでしょうかね。かなりショボい作品がけっこうあったように見受けられましたけど。あれらの絵を燃やしてしまったりすると、きっととんでもない金... 続きを読む
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萌え×クトゥルーの新たな代表作『ニャル子さん』漫画版もオススメ - ... news.honzuki.jp
昨日の記事ラノベを徹底的に分析するための着眼点「オタクの4大ニーズ」とは?が、当Bookニュース史上最高のアクセス数を集めたので、今日は当初予定していたジョルジュ・ディディ=ユベルマンの美術史批判の人文書『イメージの前で』の紹介と入れ替えで、ライトノベル発のアニメ化で新たなヒットになりそうな作... 続きを読む
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ラノベを徹底的に分析するための着眼点「オタクの4大ニーズ」とは? ... news.honzuki.jp
とうとう『ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略』が刊行された。ライトノベル編集者だった著者が、「より多くの読者満足が実現できるものが正しく、その設計に失敗しているものは間違っているというスタンス」に立って、Amazonランキング歴代1位の作品を分析した一冊。 ビジネス... 続きを読む
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アップル社の成功は音楽をどう変えたのか。音楽言論誌アルテス第2号... news.honzuki.jp
これから生まれてくる子供たちにとっては、完全に過去のものとなる風景がある。うずたかく積み上げられるレコードの山だ。音楽好きならば必ず持て余すほどのレコードを抱えていた時代は終わる。これからの音楽好きは自宅ではストリーミング再生やダウンロードした音源を聞く。この変化は音響のデジタル化にともなって... 続きを読む