2013年4月、セルゲイ・グリエフは、ロシア政府による予期せぬ訪問を受けた。事務所を家宅捜索をしているあいだの彼らの横柄な態度は、グリエフにロシアを永遠に去るべきときが訪れたことを伝えていた。 それ以来、彼は西側で輝かしい経歴を積み重ね、フランス・パリ政治学院の経済学教授となった。さらに2022年には『スピン・ディクテイターズ(情報操作独裁者たち)』(未邦訳)を出版。政治学者ダニエル・トレイスマンとの共著になる本書は、21世紀の圧政を見事に分析している。 コントロールされていることに気づいていない ──21世紀に圧政はどのように変化したのでしょうか? 独裁者たちは、もはやかつてと同じではありません。「独裁者」という言葉について考えるとき、私たちの脳裏には前世紀の暴君たち、ヒトラーやスターリン、あるいは毛沢東が浮かびます。それはつまり、自分の権力が恐怖や抑圧、国民の私生活の統制を基盤としてい