『Take a Risk: 林岳彦の研究メモ』 の新着エントリー
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なぜ共同事実確認に興味があるのか:リスク心理学の観点から - Take ... d:id:takehiko-i-hayashi
マサヤさんおめでとう!*1 さて。今回は、今週の木曜日(12月8日)の松浦正浩さんのセミナー「マルチステークホルダー状況下における合意形成と科学的情報の接続」の宣伝も兼ねて、なぜリスク研究者である私が「共同事実確認」に興味があるのかについて整理してみたいと思います。そもそもこの「共同事実確認」... 続きを読む
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放射性物質の食品健康影響評価WGの評価書案を読んでみた(その3・同... d:id:takehiko-i-hayashi
今回はこのシリーズの(その1・憤慨編)(その2・疑問編)にひきつづき、第9回放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ(以下WGと略)による評価書(案)にたいする私の雑感について整理していきたいと思います。今回は最終回となる「その3・同情編」です。今回もどうしようもなく長すぎるかん... 続きを読む
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フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎ... d:id:takehiko-i-hayashi
本編の方はフィデューシャル推測の項まで書いたのでもう良いかなあ、と思って終わりにして、今回から同書の「素晴らしすぎる訳者解説」のメモを書いていきます。訳者の方は「渋谷政昭・竹内啓」さんなのですが、巻末の訳者解説が本当に素晴らしく完成度が高いのです。「池上彰か!」とツッコミたくなるくらいその解説... 続きを読む
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まとめた保高さん:放射性セシウム汚染土壌の管理・浄化の方法まとめ... d:id:takehiko-i-hayashi
産総研の保高徹生さんが、放射性セシウム汚染土壌の管理・浄化の方法についての論考を公開されたのでメモいたします*1。汚染土壌の管理浄化の諸方法についてその利点・欠点・制約条件などをプロの人がまとめたものって意外とないような気がしますので、とても貴重なまとめかと思います。(共著者には大林組・鴻池組... 続きを読む
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重回帰の変数選択についての追記:交絡調整との兼ね合い - Take a Ri... d:id:takehiko-i-hayashi
いまフェスで鹿児島に来ています*1。先日の重回帰の記事の追記として、「相関のある変数を取り除くこと」を「交絡調整」という視点からさくっと語りなおしてみたいと思います。(これから書くことはたぶん間違ってはないハズとは思うんですが、もし間違っていたら適宜ご指摘ください>識者の方々) 変数の追加によ... 続きを読む
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重回帰分析における多重共線性への対処ストラテジーのメモ - Take a ... d:id:takehiko-i-hayashi
良い機会なので重回帰分析についてのメモをちょっと残しておきます。今日のネタ本はこちら:Excelで学ぶ共分散構造分析とグラフィカルモデリング作者: 小島隆矢出版社/メーカー: オーム社発売日: 2003/12メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 79回この商品を含むブログ (5件) を... 続きを読む
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同情編のための前置き:許容可能リスク・ALARA・予防原則・汚染者負... d:id:takehiko-i-hayashi
今回は放射性物質の食品健康影響評価のワーキンググループの評価書シリーズ(過去記事「憤慨編」「疑問編」 )の最終回として「同情編」について書こうと思ったのです。が、いざ書こうとすると、いくつかの関連する概念をあらかじめ説明しておかないとエントリーが長くなりすぎることに気づきました。ので、ちょっと... 続きを読む
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放射性物質の食品健康影響評価WGの評価書案を読んでみた(その2・疑... d:id:takehiko-i-hayashi
このシリーズのその1(憤慨編)にひきつづき、第9回放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ(以下WGと略)による評価書(案)にたいする私の雑感について整理していきたいと思います。今回は「疑問編」になります。(今回もまったくもって長すぎるので注意) ICRPの低線量線形外挿を採らな... 続きを読む
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村上陽一郎の記事が個人的に衝撃的だった件 - Take a Risk: 林岳彦の... d:id:takehiko-i-hayashi
食の安全情報blogさんの以下の記事:放射線リスクの真実 〜ジャンクサイエンスに惑わされないために - 食の安全情報blogに触発され今月の中央公論を買って読んでみたのですが、個人的には上記の記事*1よりも、その後の村上陽一郎のインタビュー記事が衝撃的でした。インタビュー全体のタイトルは『「安... 続きを読む
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不確実性と意思決定:「盛る」のはOKか? - Take a Risk: 林岳彦の研... d:id:takehiko-i-hayashi
twitter上のTLを見ていたら、不確実性を伴う情報を伝えるときに、それを「安全側」にバイアスをかけて伝えたり(安全側に「盛る」)、「危険側」にバイアスをかけて伝えたりする(危険側に「盛る」)ことの是非が議論されていました。一応わたしも、不確実性が含まれる情報を日常的に扱うリスク評価というも... 続きを読む
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放射性物質の食品健康影響評価WGの評価書(案)を読んでみた(その1... d:id:takehiko-i-hayashi
ふう。ここのところ書けずに苦しんでいた論文はやっと英文校閲には出せました。「でも本当の苦しみ(査読)はこれからだ!」とか言わないでくださいね後生ですから。これからまたSドク者によるMニュスクリプトへの言葉責めプレイが待ち受けているかと思うといまから気が重いです。それはさておき:2011(平成2... 続きを読む
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リスク評価は意思決定を支える柱の一つにすぎない - Take a Risk: 林... d:id:takehiko-i-hayashi
まだ論文がぜんぜん書けてない*1のでぜんぜんアレなのですが(参照)、自分の頭の中のモヤモヤを整理するために「リスク評価と意思決定」についてちょっと書いてみたいと思います。今回は学問的に確立した話というよりも、実務寄りのリスク研究者としての経験的な感覚に寄り添いながら書いてみたいと思います。(リ... 続きを読む
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低頻度高被害型リスクについて考える(2/3):不確実性の問題 - Take... d:id:takehiko-i-hayashi
前回に引き続き、今回も「10日に1度の確率で10人が死ぬ事象」と「10万日に1度の確率で10万人が死ぬ事象」は、どちらも「1人死亡/1日」という同一の表現で表すことができるけれども、それは本当に同一なリスクとみなして良いのだろうか?という問いについて考えていきます。実務的な観点から見ると、それ... 続きを読む
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低頻度高被害リスクについて考える(1/3):可換性の問題 - Take a R... d:id:takehiko-i-hayashi
今回のシリーズではいわゆる「低頻度高被害」タイプのリスクに関して、「可換性」「不確実性」「認知的収支」という3つの視点から書いていきたいと思います。ちょっとマニアック内容になるかもしれませんが、どうかご容赦ください(すんません)。 ベースとなる問い:「低頻度高被害」と「高頻度低被害」は比較でき... 続きを読む
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意外な展開:自然死産率の生データを見てみた - Take a Risk: 林岳彦... d:id:takehiko-i-hayashi
さいきんtwitter上で、「1960年代において核実験の影響で自然死産率が上昇している」という情報を見かけました(本記事の論旨の前提となりますので、ぜひ以下URLをご参照の上で以下の記事をお読みください)。http://twitpic.com/4gcyc6研究者ならば生データをチェックせねば... 続きを読む
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「1000年に1度」の意味:頻度と確率を混同しちゃダメ! - Take a Ris... d:id:takehiko-i-hayashi
今回の大地震を巡って、ときおり頻度と確率が混同されているように思われるので、整理のためのメモをしておきたいと思います。 「1000年に1度」=「今年1年間に大地震が起きる確率が1/1000」?今回の大地震は869年に起きた貞観地震以来の規模ということで、「1000年に1度の」と形容されることが... 続きを読む
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半可通なりに果敢にも統計マンダラを描いてみた(ツッコミ待ち) - T... d:id:takehiko-i-hayashi
今回は果敢にも半可通なりの統計マンダラを描いてみました。私は紛れもない半可通なので間違っているところが多々あると思いますが、ぜひ専門家の皆様に適宜御ツッコミいただければ幸いです。 意図としては、「殆んどの統計モデルは有向*1グラフの形で描けて、そのグラフ構造を数式として実装するときに幾つかの流... 続きを読む
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学会という名のフェスへ行け! - Take a Risk: 林岳彦の研究メモ d:id:takehiko-i-hayashi
今回は「学会とは何か」「なぜ学会に行くのか」について「学部生〜M1くらいのエア後輩」へ向けて手短に説明してみたいと思います。なお、本稿では「学会」という言葉を「学会組織」ではなく「年次大会」の意味で使っていきます。学会とは何か結論から言うと、学会とはフェスです。業界のレジェンドクラスからペーペ... 続きを読む
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悪用厳禁:多重比較でウソをつく方法 - Take a Risk: 林岳彦の研究メ... d:id:takehiko-i-hayashi
前回の記事では多重検定がキーワードとなりましたが、良い機会なので、今回は例を交えながら多重検定がもつ問題のインパクトについて説明したいと思います。(*「多重検定って何?」という方はこちら)結論を先に書くと、多重性を調整しない多重比較がなぜ忌むべきものかというと、それはそのような多重比較を悪用す... 続きを読む
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「美人ほど女の子を産む」はウソ?:A. Gelmanによる統計的欠陥の指... d:id:takehiko-i-hayashi
少し以前から「美人ほど女の子を産む」というタイトルの記事をネットでちらほら見かけておりました。例えばこちらなど:美人ほど女の子を出産する確率が高い | YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア) | 最上級を刺激する総合情報サイト | 1個人的にはこういった進化心理学的研究への興味はもちろん... 続きを読む