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夫の被災地出張授業(岩手県立高田高校) - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常今週の前半二泊三日で、夫が岩手県の陸前高田市に行ってきた。当地に知人のいる同業の予備校の先生の発案で、岩手県立高田高校で夏休みのボランティア授業をするため。その話を最初に聞いた時は、「私も行きたいな。美術のワークショップの需要はないかな」「プラン出してみれば?採用されるかどうかは知らんけど... 続きを読む
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父と唱歌 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常, 父介護付き有料老人ホームに入所して一週間になる父87歳を、先日の月曜日、初めて一人で訪ねた。実家の母はこれまでのバタバタが一段落ついたところで、疲れが出たのか熱を出して寝ている。夫が一緒に行く予定だったが、一人で行くことにした。一人で行きたい理由があった。母の話では、入所から三日目に叔... 続きを読む
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隠喩から換喩へ、そして‥‥(「文学2.0」読書メモ) - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
本『思想地図β3 vol.3 日本2.0』に掲載の「文学2.0 余が言文一致の未来」(市川真人)読了。メインの分析対象として取り上げられている国民的マンガ『ONE PIECE』を読んでいないばかりか、そもそも最近の小説や文芸批評にもほとんど目を通していない私のような者にもわかりやすく、かつ刺激... 続きを読む
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「お母さんを、抱きしめたい!」と父は大声で言った - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常, 父先日、父(86歳)は原因不明の激しい痙攣を起こし、意識不明となって救急車で運ばれた。救急車で搬送されるのは先月、先々月に続いて三度目だ。連絡を受けてようやく病院に駆けつけると、憔悴しきった顔の母(75歳)が入院の荷物を脇に、ポツンと廊下のベンチに座っていた。私の顔を見るなり、「もう私... 続きを読む
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父の娘たち・・・渡邉泰子と木嶋佳苗(‥‥そして私) - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
性・恋愛, 社会一週間ほど前に美容室で手に取った『婦人公論』誌上にて、北原みのりが東電OL殺人事件の被害者、渡邉泰子と、結婚詐欺・連続不審死事件の被疑者、木嶋佳苗との共通点を、「父の娘」であることだと書いていた。それが二人の性的逸脱行動になんらかの影響を及ぼしたのではないかという趣旨のエッセイ... 続きを読む
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老人たち - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常, 本父を介護している母を訪ねてまた実家に行くと、「今、これ読んでるの」と母が差し出した本が、『母の遺産 新聞小説』(水村美苗、中央公論新社、2012)だった。 母の遺産―新聞小説作者: 水村美苗出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/03メディア: 単行本購入: 2人 クリッ... 続きを読む
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原節子、死者の代理人 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
映画先日、ずっとかかりっきりだった原稿に一段落ついたので、一人で”小津トリエンナーレ”を開催した。”小津トリエンナーレ”とは三年に一回(くらいの割合で)、家にある小津安二郎の映画DVDを数日かけて観直すことである。『晩春』(1949)以降の作品のうちの10本だけだけど。小津作品の批評や研究も多... 続きを読む
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「人形を相手にしている女の子、あれは決して遊んでいるのではない」... d:id:ohnosakiko
本時代が病むということ―無意識の構造と美術作者: 鈴木國文出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2006/01メディア: 単行本クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る 『時代が病むということ 無意識の構造と美術』(鈴木國文、日本評論社、2006)。タイトルにした文を含むルチオ... 続きを読む
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「死ぬのは生きるより難儀」‥‥義父のこと - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常, 父数日前の午後、義母(79歳)から電話がかかってきた。「○○(夫)、いる?」「今、ちょっと出かけてるけど。何かあった?」 「あの、お父さんが‥‥」いつもと違う声の感じ。あまり要領を得ない義母の話を総合すると、こういうことだった。 その日の午前中、義父(84歳)は「図書館に行ってくる」と... 続きを読む
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レポート要領 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
学校この間の記事に反応が多かったので、レポートについて。単位認定に、テストではなくレポートを課しているケースは、どのくらいの割合であるのだろうか。私の行っている地方の芸術大学では少ないようだ。テストが多い。採点が楽だということもあるのかもしれない。私の場合は半期の授業内で四回ミニレポートを書か... 続きを読む
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言い張れば通るという感覚 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
学校大学の講義関係で出くわした例について今までも何回か書いたが、今回はこの10年で一番驚いたケースについて。*1 ある時、単位認定レポートの中にネット上にある映画の感想文からの剽窃を数件発見し、不可にして成績表を提出した。証拠としてそれぞれのアドレスも添付。成績発表日、教務から電話がかかってき... 続きを読む
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「女子」という自意識 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
独女通信編集部によると「最近では自分たちのことを言うのに、女子というのはふつうになっていると思います。女の子というと可愛すぎる。だから、中性的な『女子』が親しみやすく、照れ隠しという気持ちもある。また、アクティブな女性が多い昨今、女性というにはやや固いのかも」と話す。「男子」「女子」がおおはや... 続きを読む
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熟女キャバクラ - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常家から車で十分くらいのところに、沖縄料理の店があった。外装は南国風というか何というかやや中途半端な感じで、試しに一度行ってみたが特別に美味しいということもなく、普通の居酒屋に近い特徴のない感じだった。あまり賑わってもいなかった。夫と「この店、たぶん流行らないね」と言いながら帰ってきた。それ... 続きを読む
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J.ボードリヤールの『芸術の陰謀』と画家の逆ギレ - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
アート, 本芸術の陰謀―消費社会と現代アート作者: ジャン・ボードリヤール,塚原史出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/10/12メディア: 単行本クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 1996年、『リベラシオン』紙上に J.ボードリヤールが発表した「芸術の... 続きを読む
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時間について - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
音楽, アート内田樹の『街場の教育論』の中に、音楽について記した箇所がある。大学の教養課程を論じるにあたって言及している孔子の「君子の六芸」(礼・楽・射・御・書・数)の中の「楽」が、音楽。これに似た内容は内田ブログでも見た気がするので、例によって繰返しあちこちで書いていることなのだと思うが、面... 続きを読む
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現代アートとヴァイオリン少女 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
アート, 音楽大学3年くらいだったと記憶しているので、今から30年前、80年代冒頭の話。芸大の彫刻科は3年から素材によってコースが分かれており、私は金属を選択していた。そして、現代美術の底抜けの泥沼に足を踏み入れかけていた。もちろんその時は泥沼などとは思わず、現代美術こそが新しい価値を創造する... 続きを読む
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どうしてメイクやおしゃれがやめられないのか - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
性・恋愛ミスコンは画一的な美の序列化だとして批判される。美とは多様であるはずだと。ナンバーワンよりオンリーワン。たしかにミスコンを見ていると、決まりきった女性美を産出しているようにも思える。顔(ヘアメイク込み)もわりとそうだが、スタイルに関してははっきりと方向性が決まっている。もっとも常に/既... 続きを読む
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ミスコンは女装コン - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
性・恋愛この間、仕事先の大学の学園祭のパンフを見た。この私立芸大はキャンパスが少し離れた二カ所に分かれていて、学園祭の実行委員会も別。私が見たのは音楽学部の方のパンフだが、「ステージ」のプログラムの中に「イケコン」とあり、その下に小さく「ミスコン・イケメンコンテスト・逆ミスコンあるよ♪」とあっ... 続きを読む
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「徳久造船所 仕事十訓」(大竹伸朗のカタログより) - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
日常教師の心得 - bluelinesという記事が、今月とてもブックマークを集めている。ブログ主がアメリカの大学院で「Professional methods」という授業を取った際、「教授法」の回で先生が配ったものだそうだ。その立場にいる者としては非常によくわかる&耳の痛い内容だった。で、これ... 続きを読む
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芸術への「信仰」 - Ohnoblog 2 d:id:ohnosakiko
アート, 本「「芸術」否定の書」と背表紙に銘打たれた『芸術崇拝の思想 政教分離とヨーロッパの新しい神』(松宮秀治、2008、白水社)は、「芸術はいかにしてとなったのか」を近代ヨーロッパの思想、文化などと絡めて論じた本。国家権力から分離した宗教の穴を埋めるものとして、芸術が科学と同様に「市民宗... 続きを読む