蒸気機関車時代の国鉄岩内駅の様子。木箱に詰められた水産物が駅に運ばれ鉄道貨物で各地に出荷された(写真:岩内町郷土館) 北海道岩内町は、小樽市から北海道中央バスの高速いわない号で1時間半、北海道新幹線の新駅の建設が進む倶知安町からはニセコバスで45分ほどの場所に位置する日本海沿岸の港町で、1985年までは函館本線小沢駅より分岐する国鉄岩内線の終着駅があった。 岩内町の歴史は古く、すでに室町時代から和人の村があったと伝えられているほか、江戸時代後期に群来したニシンによってニシン漁の街として大きく栄えた。筆者の母方の祖先も、江戸時代後期から蝦夷地と呼ばれていた北海道のニシン漁に携わり、青森県となった津軽藩の鰺ヶ沢から岩内へと移住したニシン漁師の1人で、その後、鮮魚卸商に転身した尾崎和次郎という。 現在でも岩内町内には和次郎の長男が漁師だった父を偲び、海の安全を願って大正時代に建立した地蔵が現存し